解体・土木 基礎知識

解体工事汚水は水質汚濁防止を

解体工事の際には、粉じん飛散防止のための散水や工事車両の洗浄などで、汚水が発生します。
この汚水をそのまま排水すると、環境問題へとつながります。そのため、これらの汚水の水質汚濁を防止するための対策をする必要があります。


市町村によっては排除基準を定めたり、事前届出を義務付けているところもあるため、事前に市町村の下水道部局に問い合わせを行うことが必要です。

水質汚濁の防止のためにできること

①汚水の発生を最小限にする工法・作業の選択       
粉じん飛散防止のための散水は、適切な水量で行うなど汚水の発生を抑制する工法・作業を選択する。

②発生した汚水の量や性状の把握
粉じんの飛散防止のための散水によって、汚水がアルカリ性になることがあるため、発生した汚水は、試験紙等でにごりやPHを把握する。

③沈殿槽や中和設備の設置等
著しく濁った汚水やアルカリ性汚水をそのまま排水すると、生活環境に支障が生じる場合があるため、必要に応じ、沈殿槽や中和設備の設置等を行う。

④作業者への汚水取扱周知の徹底
汚水が発生する作業の従事者に対し、汚水の取扱いについて周知徹底する。

参照:大阪府HP「解体工事に伴う汚水について」

建設工事の汚濁水の排水基準

一般的な解体工事で発生する汚濁水の排水は、水質汚濁防止法の規制対象にはならない場合もありますが、事前に解体工事が行われる場所や水域での規制を確認する必要があります。
また、河川へ汚濁水を放流する場合は、河川管理者への届出と許可が必要です。

○濃度規制

排水基準には、水質汚濁防止法で定める全国一律の排水基準と都道府県が条例で定める排水基準があり、両方を遵守することが必要です。
大阪府では上乗せ排水基準が定められています。

○総量規制

1日平均排水量が 50立方メートル以上の指定地域内の特定事業場には濃度規制だけでなく総量規制も適用されます。
大阪府は、全域が指定地域となっています。

■有害物質

有害物質の種類許容限度
カドミウム及びその化合物0.03mg Cd/L
シアン化合物1 mg CN/L
有機燐化合物
(パラチオン、メチルパラチオン、メチルジメトン及び EPNに限る。)
1mg/L
鉛及びその化合物0.1 mg Pb/L
六価クロム化合物0.5 mg Cr(VI)/L
砒素及びその化合物0.1 mg As/L
水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物0.005 mg Hg/L
アルキル水銀化合物検出されないこと
ポリ塩化ビフェニル0.003mg/L
トリクロロエチレン0.1mg/L
テトラクロロエチレン0.1mg/L
ジクロロメタン0.2mg/L
四塩化炭素0.02mg/L
1,2-ジクロロエタン0.04mg/L
1,1-ジクロロエチレン1mg/L
シス-1,2-ジクロロエチレン0.4mg/L
1,1,1-トリクロロエタン3mg/L
1,1,2-トリクロロエタン0.06mg/L
1,3-ジクロロプロペン0.02mg/L
チウラム0.06mg/L
シマジン0.03mg/L
チオベンカルブ0.2mg/L
ベンゼン0.1mg/L
セレン及びその化合物0.1 mg Se/L
ほう素及びその化合物
(域以外の公共用水域に排出されるもの)
10 mg B/L
ほう素及びその化合物
海域に排出されるもの
230 mg B/L
ふっ素及びその化合物
(域以外の公共用水域に排出されるもの)
8 mg F/L
ふっ素及びその化合物
海域に排出されるもの
15 mg F/L
アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物
アンモニア性窒素に0.4を乗じたもの、亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素の合計量
100mg/L
1,4-ジオキサン0.5mg/L
引用:環境省「一律排水基準」

■その他の項目

項目許容限度
水素イオン濃度(水素指数)(pH)
海域以外の公共用水域に排出されるもの
5.8以上8.6以下
水素イオン濃度(水素指数)(pH)
海域に排出されるもの
5.0以上9.0以下
生物化学的酸素要求量(BOD)160mg/L(日間平均 120mg/L)
化学的酸素要求量(COD)160mg/L(日間平均 120mg/L)
浮遊物質量(SS)200mg/L(日間平均 150mg/L)
ノルマルヘキサン抽出物質含有量
(鉱油類含有量)
5mg/L
ノルマルヘキサン抽出物質含有量
(動植物油脂類含有量)
30mg/L
フェノール類含有量5mg/L
銅含有量3mg/L
亜鉛含有量2mg/L
溶解性鉄含有量10mg/L
溶解性マンガン含有量10mg/L
クロム含有量2mg/L
大腸菌群数日間平均 3000個/cm3
窒素含有量120mg/L(日間平均 60mg/L)
燐含有量16mg/L(日間平均 8mg/L)
引用:環境省「一律排水基準」

水質汚濁防止法とは

工場・事業場から公共用水域に排出される水の排出と地下に浸透する水の浸透を規制することや、生活排水対策の実施を推進することなどにより、公共用水域や地下水の水質の汚濁の防止を図り、それによって国民の健康を保護するとともに生活環境を保全することを目的とした法律。昭和46年6月24日に施行され、平成24年6月1日に改正されました。

大阪府における水質汚濁防止法に関する法令については、こちらをごらんください>>

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