解体工事を行うときには、どうしても騒音や振動が起こります。
騒音・振動に対する規制は、騒音規制法・振動規制法で定められているので、解体工事の前にチェックしておきましょう。
騒音規制法・振動規制法では、都道府県知事や市長・特別区長が振動について規制する地域を指定(指定地域)し、規制対象ごとに規制基準等が定められています。
具体的な指定地域や規制基準等については、市、特別区または都道府県に確認する必要があります。
法規制による規制の対象
①工場・事業場振動
指定地域内の特定施設を設置する工場・事業場(特定工場等)が対象
30日前までの届出が必要
②建設作業振動
指定地域内の建設工事での特定建設作業が対象
7日前までの届出が必要
③道路交通振動
指定地域内の道路交通振動での要請限度
※届出義務
市町村長や特別区長への届出は義務で、届出しない場合、罰則をうける可能性があります。
振動規制法
振動に関する苦情は、平成28年に行われた環境省の調査によると3,252件、そのうち建設作業によるものが67%にも上ります。
振動規制法は、工場や建設作業から発生する振動を規制し、国民の健康を守るために昭和51年に制定されました。
解体工事における振動基準
規制の種類/区域 | 第1号区域 | 第2号区域 |
騒音の大きさ | 敷地境界で85デシベル | 敷地境界で85デシベル |
作業時間帯 | 午後7時~午前7時以外 | 午後10時~午前6時以外 |
作業期間 | 1日あたり10時間以内 連続6日以内 | 1日あたり14時間以内 連続6日以内 |
作業日 | 日曜日、その他の休日以外 | 日曜日、その他の休日以外 |
騒音規制法
騒音に関する苦情は、平成27年に行われた環境省の調査によると16,490件、そのうち工場・事業場や建設作業によるものが約60%になります。
工場や建設作業から発生する騒音を規制し、国民の健康を守るために昭和43年に制定されました。
解体工事における騒音基準
規制の種類/区域 | 第1号区域 | 第2号区域 |
騒音の大きさ | 敷地境界で75デシベル | 敷地境界において75デシベル |
作業時間帯 | 午後7時~午前7時以外 | 午後10時~午前6時以外 |
作業期間 | 1日あたり10時間以内 連続6日以内 | 1日あたり14時間以内 連続6日以内 |
作業日 | 日曜日、その他の休日以外 | 日曜日、その他の休日以外 |
デシベルってどれくらい?
騒音や振動の基準となる「デシベル」という単位。
75デシベル、85デシベルと聞いてもわかりにくいですが、生活環境での騒音を参考にしてみるとわかりやすいかもしれません。
70デシベル:ステレオの音
80デシベル:地下鉄の車内
90デシベル:カラオケボックス客席
対策として考えたいこと
法規に基づいた届出
解体工事を行う際には、必ず、市、特別区または都道府県に具体的な指定地域や規制基準等について確認を行い、法令遵守が鉄則です。
事前の挨拶を行う
クレームやトラブルを回避するために、解体工事前にはかならず、近隣住民への事前挨拶を行いましょう。
養生シートや防音シートを活用する
一般的な養生シートよりも防音性能に優れたシートを使用することで騒音・振動を減らすことができます。
作業時間の調整
法的な規制を守ることはもちろんのこと、近隣環境に応じて作業時間を見直すことでクレームを回避できる場合もあります。