建設業法にはさまざまな規制が設けられています。建設業者は、営業から工事施工完了まで法令を遵守する必要があり、建設業法や関連法令に違反すると、監督処分(許可行政庁から直接法の遵守を図る行政処分)が行われます。監督処分には、「指示処分」「営業停止処分」「許可の取消処分」の3種類があります。
3つの監督処分
指示処分
法令違反や不正行為を是正する為に監督行政庁が命令すること。
例
- 施工不良のため公衆に危害を及ぼした、又はその恐れがある
- 一括下請け(丸投げ)の禁止に違反
- 建設業許可を得ないで500万円以上の下請契約を締結
- 営業停止、営業禁止されている者との下請契約を締結
- 特定建設業者でない者が3000万円以上の下請契約
営業停止処分
「指示命令」に従わない場合、1年以内一定期間の営業停止が命じられます。違反の内容によっては、官公庁の判断で指名停止になる場合もあります。
例
- 指示処分に該当した者が改善をしない場合、または指示処分に違反
- 入札妨害罪・談合罪・贈賄罪・詐欺罪・補助金等適正化法違反・独占禁止法違反・建築基準法違反・税法違反
- 役員または使用人が懲役刑
- 不正な手段で許可を取得
- 施工体制台帳を作成していない、又は虚偽の作成
- 虚偽申請(完成工事高の水増し申請。入札手続きでの不正行為等)
許可の取消処分
営業停止処分に従わない場合や、不正が発覚した場合は許可取消の処分を受けます。悪質な不正の場合、指示処分や営業停止処分の内容であっても許可取消となる場合もあります。許可取消処分を受けると、5年間は新たな許可を受けることができません。
例
- 経営業務の管理責任者・専任技術者が退職等でいない
- 不正な手段で許可を取得
- 指示処分、営業停止処分に違反
刑事処分とは
行政処分とは別に刑事処分というものがあります。司法当局によって行われるもので、罰金が科せられるだけでなく、許可取消につながります。
違反で失うものは大きい
監督処分を受けると、建設業者処分簿に業者名や処分内容が記載されます。建設業者処分簿は、国土交通省及び各都道府県の閲覧所で閲覧可能です。また、営業停止や許可の取消は、官報や公報にも公告されます。また、経営事項審査での「法令の遵守」の項目で減点されます。顧客の信頼を失い、賠償問題にもつながりかねません。
「知らなかった」「ほかの会社もしているから」は通用しません。正しい知識を持ち、適切な対応ができる業者をえらびたいものです。